プロボクサー青島徹は、チャンピオンをかけた試合に、ダウン寸前までゆきながら突然倒れた。マスコミは徹の八百長説をかきたてたが、青島は医者から脳腫瘍のため三カ月しか命がないと宣告された。与えられた短い生命を有意義についやそうと決心した徹は、小児麻痺で不自由な弟をもつ看護婦の美紀から聞いた施設敷金に、自分のファィトマネーを提供しようとした。丁度その頃、徹の母が死んだことを許婚の伊津子が知らせてきた。彼が唯一の親孝行と掛けていた五百万の保険金もあわせて施設費に提供しようとする徹は、係員の長崎が金をもって逃走中と聞きショックを受けたが、被害者の一人望月と長崎を追った。しかし、長崎は国際ヤミ金融組織を襲う計画の一部を握ったことから組織に殺されたことがわかった。金の欲しい徹は組織に挑戦した。恐ろしい組織のワナにかかり殺されそうになったり、謎の男望月に苦しめられた。...
車のハンドルを握ったまま明和銀行新橋支店の入口を凝視する一人の男--彼の名は矢崎哲男。一年前、失業した彼は無性に金が欲しく神戸の交番を襲い警官から拳銃を奪って浜松OS劇場、名古屋新和銀行を襲撃、大金強奪に成功した。その金で彼は女医三千代と豪奢なアパート生活を楽しんでいた。それから一年、金を使い果した彼は明和銀行新橋支店襲撃を計画した。そして今日、まずタクシー運転手を射殺して車を奪い銀行に乗りつけたところである。しかし銀行前の派出所には三人の警官が詰めていた。矢崎は犯行を中止した。江藤隆は、この派出所に勤務する若い巡査、東北の貧農の次男坊である彼は、出世を夢みて勉強していた。一方、矢崎の狙う銀行の出納窓口には安野亮一という真面目一方の青年が勤務していた。彼は一カ月前、一人の弟を神風タクシーのために失い、それ以来沈みがちな母さとを安心させるため恋人の君子...
五年振りにムショを出た口笛のジョージこと、原田譲二は、昔のシマ横浜へ戻って来た。が、かっての組は潰れ、兄貴分の鉄や弟分の辰は新興勢力の張三元の下で動く身だった。一人になっても、組を盛りかえそうと譲二も懸命になったが、新興勢力の前にはどうする事も出来なかった。そんな時、波止場でグレン隊に襲われていた盲目の少女由比子を救った。身寄りのない、この清純な少女にヤクザの譲二は強くひかれていった。そして、由比子の眼の手術費のために、今は張三元の仕事を引受ける決意をした。手術の日まで二人の心をしっかりと結ぶために、二人は時計を交換したが時悪く譲二達の舟が巡視艇に見つかり、矢田部刑事を射ちそこなった譲二は、仲間を裏切ったと海へ投げられた。丁度その頃、由比子の手術は成功していた。それから二カ月、譲二は運送会社の社長に助けられて、運転手となっていた。一方の由比子も矢田部...