“男の紋章“シリーズで好評を博した高橋英樹の新シリーズ化を狙った第1作だが、興行的にふるわずこれ1作で終わった。政党の大物の書生政吉は、主人を殺され自分の非力さを悟り、ヤクザ修行の旅に出て苦しい修行の末、一人前のヤクザとなって帰ってくる。
During the 1880's a young swordsman, Saotome Gengo, on his way to Tokyo stops at an inn in a small town. But he does not know that his prowess has already attracted envious attention and that Senzo, the boss of the local gang, plans to have him killed. Seiji, the disowned son of the innkeeper, has run up a big gambling bill and, to settle it, the hoodlums decide to kill him. He...
笠原源吉は交通事故専門の悪質示談屋で、女房のはつはこんな源吉を嫌って逃げだし、息子の茂と一緒に暮らしている。茂は全日交通の事故係だが、この仕事が嫌でたまらない。が、知り合ったモデル、住友マリは全日交通のトラックがハネた被害者だが、マリの顔半分には生々しい傷痕が残り、茂は激しい同情と責任を感じていた。そんな事から、茂は父親の職業を嫌い、止めてくれるよう何度も頼むのだったが、源吉はてんでうけつけず、今日も、追突現場に飛んで行くのだった。だが、そこには源吉のライバル宍倉が来ていた。すでに、宍倉は加害者のトラック運転手井上から委任状を取っていて、意気揚々としていた。しかし、源吉も負けてはいない。被害者河合の入っている佃病院の事務長大沢を抱きこみ、宍倉を病院から追い返してしまった。一方、茂は何度もマリと会っている中、マリを愛するようになった。それを知った源吉は...
大正末期、吉原へぶらりとあらわれた山口明夫は、口入屋の手で遊郭に売られた妹の早苗を捜していた。宮本組が仕切るこの伝統ある遊郭も、女郎の悲惨な姿だけは、目を被うものがあった。人身売買が公然と行われ、口入屋“丸徳”の六造や銀次が生娘を宮本に売りつけていた。明夫は、そんな女の一人、お信を知ってから、一層、怒りがこみあげてきた。やがて、吉原でも、足抜きが流行った。おいらんの刺青をして、腕っぷしの強いこの男は、女郎たちの英雄となった。この男こそ、実は流しに扮した明夫だった。まもなく明夫は、浅草観音で妹によく似た千恵に出会った。村田組の一人娘である彼女の縁で、村田親分は明夫の早苗探しに一役かった。女郎の情報が詳しくなればなる程、憎悪を感じた明夫は、足抜きを試みては、遊郭を混乱に陥れた。宮本組は“おいらん権パ”の出現に手をやいていたが、依然正体はつかめなかった。そ...
渡世人“昇龍の政”こと政次は網代組の刺客として、野上組組長松蔵を斬った。昭和初期、夕陽にそまる大阪のある港町での出来事である。政次は松蔵の娘マキの結婚披露の席とは知らず斬り込んだことを深く後悔し、また網代の汚なさに腹を立てて大阪を去った。一方マキは結婚も解消され、心乱れる日々が続いたが、遂に父の仇をうとうと決心し昇竜の刺青を求めて旅発った。政次は東京で写真家華影のもとに弟子入りし、堅気の生活を送っていた。ある日政次は関東一円の親分衆の集まりで記念撮影を依頼されたが、不出来で怒った戸塚にその代償として華影館の立ち退きをせまられた。責任を感じて単身乗り込んだ政次と急を聞いてかけつけた華影に、戸塚は弁償金一万円を要求した。戸塚の悪の手は次第に華影や写真師たちに及び、意を決した政次はサイコロで片を付けようと戸塚に願い出た。そして戸塚家に身を寄せているマキが代...
賭博がもとで兄と恋人を失った氷室浩次は、二度とダイスを振るまいと決心すると新興工業地宇山市へ現われた。この街ではいかさまバクチで善良な市民から金品をまきあげる依田組の卑劣さが、目にあまるものがあった。氷室は城崎医院の二階に下宿するとバー“クラウン”のバーテンに落着いた。城崎の好意と、明るい看護婦茂子に囲まれた毎日は、氷室にとって楽しかった。ある夜、三年前に家出した城崎の伜周一が帰って来た、医業を捨てヤクザになりはてた周一の姿は城崎には頭痛のたねであった。東京の榊原組に入った周一は、組長から餞別をもらって郷里へ帰って来たのだ。氷室が下宿していることに怒った周一は、恋人のホステス牧子のとめるのも聞かず、すさんだ毎日を送っていた。城崎の苦しみをみかねた氷室は、依田組に加わってダイスを振る周一に激しい怒りを覚えた。数日後、東京の榊原組の子分が依田組へやって来...
大島竜次を慕う、子分の虎鮫と辰は、旅修行に出ていった竜次を追って旅から旅へと流れ歩いていた。が、とある街で虎鮫と辰は竜次の噂を聞き、その土地の親分紋二郎のもとを訪ねた。ところがいざ会って見ると、それは偽ものの竜次で、ペテン師の三太であった。そのころ竜次は、木津原組で名をかくして修業をつんでいた。が、ある日木津原一家の縄張りで、女郎が逃げだして竜次のもとにころがりこんできた。竜次は女郎を逃がしてやった。この竜次の処置に怒った木津原一家は、竜次になぐりこみをかけた。折よく来合わせた虎鮫や辰の協力で、木津原一家をけ散らした竜次は、再びわらじをはき、また名をかくして高根組を訪ねた。高根組はこの地帯の伐採場を仕切っていたが、横暴なやくざ沢久のために苦しめられていた。数日後、病床にふす親分高根は、竜次の正体を見破り自分の名代を頼んだ。悪らつな沢久のやり方に腹をす...
大正初期の東京、改正党の実力者城野はある夜反対派に襲われたが、書生の政吉に救われた。だが結局数日後外出先から遂に冷たくなって帰ってきた。金貸しの丸惣は、生前の城野の借金の返済を娘お雪に迫った。芸者になり返金しようとするお雪に何も出来ない自分に嫌気がさし、やけ気味で政吉は大暴れを演じるのだった。暫くして政吉は父と兄弟分だった伊三郎を訪ね、盃を--と頼んだが、伊三郎にやくざの世界の醜さを説かれた。が、政吉の決心は変らず、苦しい修業が始まった。さらに、“男”になって帰って来い、との伊三郎の言葉に励まされ、政吉は旅に出た。旅に出てからの政吉は、日一日とたくましさを加えてゆき、各地で堅気衆と無法者との仲裁役をかって出ているうちに、政吉の評判は関八州に鳴りひびいていった。そんな政吉の噂を聞き、伊三郎はわがことのように喜んだ。東京の伊三郎一家と、目にあまる非道をや...