日曜劇場1500回を記念して、橋田壽賀子と石井ふく子のコンビで制作された超大作時代劇。徳川時代、貧しい農民の娘に生まれながら、四代将軍家綱の生母となった“おらん”の数奇な生涯を中心に本当の幸せとは何かを問う。1652年、徳川三代将軍家光が没してから、11歳の家綱が四代将軍を継いで承応元年となった雪の降る日に、ひとりの美しい女が32歳の短い生涯を閉じた。その名は、おらん(大原麗子)。四代将軍家綱の生母だった。おらんは、将軍の生母として栄耀は思うままの身分でありながら、失意を深く胸に抱いて一生を終えたのだ。貧しい農民の娘として生まれたおらんは、母親の再婚を機に江戸へ出て働いていたところ、時の将軍家光(石坂浩二)の乳母春日局(森光子)の目に留まった。やがて江戸城大奥に勤めることになり、家光の寵愛を受ける。久しぶりに、お忍びで故郷に戻ったおらんは、かつ...
明治24年、北九州の遠賀川に鉄道が敷設されようとしていました。ところが、船で石炭を運んでいた川船頭たちは、鉄道が敷かれると仕事にあぶれるため、強硬に反対します。鉄道側の松橋組社長松橋(柳永二郎)と川船頭の親方石岡(山本礼三郎)は、同郷の幼なじみの間柄でしたが、それぞれの立場から仲違いをしていました。
そんな折、松橋が襲撃されます。襲撃を目にした草刈信次郎(鶴田浩二)は、松橋を助け自宅まで運びます。だが、介護の甲斐なく松橋は亡くなります。死に際に、松橋は娘の雪子(藤純子)と息子の新一(千葉真一)に、警察沙汰にせぬよう口止めさせます。草刈は警視庁刑事三杉(加藤武)に追われて、東京から逃げてきたやくざで、国外逃亡を目論んでいました。しかし、雪子と松橋組の組頭宮川(松村謙二郎)の強いすすめにより、そのまま松橋組の居候となります。
1961(昭和36)年 東映 1961(昭和36)年キネマ旬報ベストテン30位
<原作>富島健夫「雪の記憶」
列車の中で、「アイタシ スグカエラレヨ ユキコ」という電報を握りしめて、大学生の小島海彦(水木)は久し振りに帰郷の途にあった。
4年前の高校1年の3学期に、海彦は病弱な父(加藤)と2人で、魚の行商をしている兄夫婦(中山山本)と一緒に小さな港町(柏崎と推定)へ移って来た。
そして、彼らは鄙びたあばら家に移り住むことになり、海彦は長岡市にある男子高校へ転校した。
転校した最初の朝である。海彦は通学する汽車の中で、セーラー服の美しい少女(佐久間)を見掛けた。
少女もまた、じっと海彦を見つめていた。それ以来、毎朝その少女に会うことが出来ることを、彼は幸福に感じるようになった。
海彦は朝鮮半島から引揚げて間もなく、母を亡くしていた。だが、少女を...
新婚列車の異名をとる準急「いでゆ」、発車を控えた東京駅のホームは贅沢で華やかな混雑が渦巻いていた。取材の仕事のため、列車に乗った雑誌記者の若宮四郎は、発車間際に駆けつけた一組の新郎新婦に目を留めながら、熱海へと向かった。
外国人の多く宿泊する一流ホテルにて、評論家との面会を待っていた若宮だったが、宿泊する481号室に、突然「洋服を持ってきました」と伝える見知らぬ青年が闖入してきた。呆然とする若宮は、青年が431号室と間違えたのではないかと見当をつけるが、翌日、431号室に宿泊していた新婚夫婦の夫が、自殺の名所錦ヶ浦で投身したとの報が入った。警察は平凡な自殺として処理するが、前後の状況に疑問を抱いた若宮は、編集部の協力を得て、事件の調査を始める。