国王ユンホワンによって統治されているトンワン王朝では、反王制活動を続けるモーア族が、大規模なテロ結社“闇”を組織して、**軍に執拗に抵抗していた。“闇”は国外追放されたゲゲンを首領に、横浜洋上に船を浮かべて、国際賭博、売春、麻薬、などの手段で軍資金を稼ぎ、すでにゲゲンの日本邸宅には一千万ドル入りの金庫が収まっていた。**軍は、その金が武器にかわるのを恐れて、敏腕な女スパイミーチンを日本に潜入させ、金庫奪取を計画した。一方トンワン王国に派遣されていた国際秘密警察官の北見次郎は、ある夜、刑務所裏の暗がりで混血娘と情事にふけっていた。が、そこへ刑務所を脱走した女、白蘭がころがりこんで来た。白蘭を連れて事務所にかえった北見は、ミーチンらの手で気絶させられ、トンワン王宮に連れてこられた。**軍の情報長官スリタイとスパイ、ミーチンそれに金庫破りの名人白蘭は、...
修善寺で芸者屋の一人娘として育てられた房子の家は、母も祖母も芸者上りで、母は彼女をおいて情夫と駈落ちした。ある日その母を未練がましく追う父の繁雄を激しく責める祖母おつたの口から房子は意外のことを聞いた。「房子だって誰の子か判りやしない。」-感受性の強い年頃の彼女は以来、自分が日蔭の子という劣等感をもつようになった。祖母と折合のつかぬ繁雄は房子を連れて上京、彼女の伯母お絹の経営する“小浜”へ頼って行った。房子は帳場を預ったが日夜目にする社会の裏面に激しい嫌悪を感じた。が彼女は店へ来る客で四十七、八にもなる評論家山岸に惹かれた。山岸も芸者の子であった。房子は、また戦後派的な紙問屋の社員篠崎に好感を持っていたが、彼と逢引して店へ帰ると、お絹から、情夫と行方を昏ましたアプレ芸者政代が男に逃げられ湯河原で自殺未遂の身を保護されているから迎えに行くよう頼まれた。...
翻訳家のレイコ(中野良子)は羽田空港近くのアパートに住んでいる為、静かな所を探している。ある日不動産屋から連絡があり、西沢満智子(宮下順子)の住んでいるマンションを紹介された。同じ静岡県出身と行った二人は親しくなり、ある日、レイコは満智子から夜会おうという電話を受ける。ところがその晩満智子はやって来ず、翌日満智子は首吊り死体となって発見された。レイコは満智子の自殺に疑問を持つが、満智子は1ヶ月ほど前にも同じ場所で自殺を図っていた為、警察は自殺と判断していた。レイコは、たまたま知合った医者の桜田(黒沢年男)と共に真相を探り始める。
ダフ屋の取締りを一手にする“ビュイックの牧”は、腕っ節が強くバカ正直で気が短かい。彼はダフ屋の顔役“ラッキョウの健”が、招待券を法外な値で流しているのに腹をたてたが、口八丁手八丁の健に簡単に丸められてしまった。牧にはバープランタンのマダムのタカ子という女があったが、タカ子は健に惚れていた。銀座のプレイガイドの売り子のみち子も健の為に切符の横流しをする程健に熱を上げていた。健はデパートの掃除婦をしている母親のおきみに、新橋裏に小料理屋を持たせたいという望を持っていた。健はダフ屋の親分犬井に歩合を増すといわれ、牧との約束を破って田宮の興行に手を出そうとした。牧が弟のようにしているボクサー島村を酒の肴にして、健が牧をののしると、牧は怒って暴れ警察に留置された。その間に健は切符を売ってしまった。健が貯めた金を預けてあった安全経済会が突然休業し、健はあわて...
都庁公園緑地部係長の北山悠一は、三十一歳独身で叔父外山博士の家に同居している。真面目でお人好しの悠一は、外山の娘マリ子の夫東畑六郎の帰宅が遅くなった時のいいわけにいつも利用されている。堅人の彼にも好きな人がいる。通勤の電車で会う人だが名前も分らない。テレビで「都市の緑地化」について演説をする筈の藤山課長が脳貧血でたおれ、悠一は無理に代役にされた。担当アナウンサー青木礼伊子が電車の中で会う人だったので、アガった彼は、演説を失敗し、礼伊子とも失恋だと観念した。東畑は馴染の芸者八重奴と手を切るための掛け合いを修一に頼んだ。東畑を悠一にのりかえようという八重奴は簡単に承知したが、悠一は驚いて逃げ帰った。礼伊子は悠一に対し好ましい印象を持っていたが、八重奴とのことを誤解する。しかし、六本木の弁解で誤解もとけ、悠一は礼伊子に求婚するがことわられた。鉄工所跡の造園...