離婚した父の顔を娘は知らない――。東北新幹線を舞台に、わが子を犯罪者として護送しなければならない警察官の心の葛藤を描く。平賀警部(中村敦夫)は殺人犯の万里子(田中美佐子)を、東北新幹線で東京へ護送中。万里子は幼い時別れた平賀の娘で、万里子はそのことを知らない。複雑な心中の平賀は、万里子の母利江(池波志乃)と離婚したいきさつを、また、万里子は不幸だった自分の過去を回想する。
本条三奈子は恋に破れ半ば自暴自棄になっていた所を、舟木に拾われ、その夜から二号となって二年たった。ある日、配達に来たデパートのアルバイト学生波川透の寒そうな姿に温かい飲み物を与えた三奈子は、彼の希望に燃えた瞳をまぶしく感じた。そんな時、二年前に三奈子を捨てた元恋人の橋本と再会する。橋本に求婚されるも、三奈子の心の底には透がいて…。
東の空が白む頃、山谷ではアチコチの簡易旅館の窓が開きニコヨン連中はまず空を見る。今日は天気。“希望館”から飛び出したのは天下の為さん、元将軍、その他ニコヨン大隊。目標は職安である。その晩、館の二階で一同がくつろぐ中に、労働組合の執行委員田崎と同志とよ子は就労対策のビラ造りに懸命。為さんは新米の元教員耕介に日給の使い方を伝授。ふと向いの“昭和館”、源さん夫婦の部屋を覗いてどきり。パン屋に住込奉公している源さんの娘君子の姿。耕介も彼女に眼をつける。昭和館の住人、競馬狂の与五さんは、女房お虎の頑固親父寿し金の来訪に仰天、逃げ出す。寿し金は娘のニコヨン暮しが恥しく別れ話を持ち出すが、お虎にしてみれば駈落ちした程好きな男。それに下町娘の意地もある。深夜、けたたましい悲鳴。厳さんの女房お栄が家出したのだ。泣き叫ぶ厳さんを皆はなだめ落着かせたが、翌日は雨。アブレだ...
悲痛な恋! 異常なスリル!
若き情熱は命限りと燃え上がる!
加納清司は、父義次の友人、自由政治社社長の花田重造の世話で、花田の会社の記者になった。
雑誌記者としての有能さが買われ、花田の一人娘いずみとの結婚話も持ち上がっていた。
しかし清司の心は重かった。
一つは、雑誌の編集方針が極端に右に傾いていること。もう一つは、近代娘のいずみをどうしても心から愛することができないこと。
しかしもっと大きい原因は、ただ一人の肉親、父の義次が行方不明になっていることだった……。
【映像特典】1.劇場予告編 2.フォトギャラリー
監督:増村保造 原作:川内康範 脚本:川内康範、下村菊雄
出演:藤巻 潤、大山健二、江波杏子
1961年/本編93分/モノクロ/日本語Dolby Digital モノラル/16:9(スコープサイズ)
銀座の“旋風児”とは、二階堂卓也のことである。神出鬼没の行動のせいだろう。職業は装飾デザイナー。男らしくて、粋だそうだから、女どもが大騒ぎするという。卓也はボス王徳宝が大粒のダイヤを売りさばき、キャバレー“モナコ”の建築資金にしているのを知った。情報屋の政の報せで香港へ発った王の後を追った。香港で、王を狙撃しようとした明子という女と知り合う。彼女の父は戦時中、軍属だった王(実は堀田という日本人)中村、木原、丸山の一味にスパイだと無実の密告をされ、殺されたのだ。堀田は国民の強制献納品のダイヤを大量に奪って、外国人になりすまし銀座のボスになったという。卓也は明子を男装させ、羽田へ連れ戻った。彼は一味に対する挑戦広告を東都タイムズに載せた。モナコの奥の一室に、丸山を除く三人が集った。東タイの荒木は木原の娘久美子の婚約者だった。彼が話を聞こうとした時、木原は...
東西放送広告社のプロデューサー森岡繁は、どうも仕事ぶりが芳しくない。社長の園田カンナ女史はなかなかの強者で、森岡には苦手の存在だったが、或る日彼が新規に契約したポポナ化粧品の番組にカンナ社長自ら出演すると大張切りで、その交換条件に森岡には若草もゆるという可憐な助手がつけられた。ところがカンナ女史歌う「情熱のカンナ」がワイセツじみてしまい、ポポナの宣伝部長のカンにさわり、彼はそこに勤める森岡の妻蓮子に、そうとは知らず森岡に電話で文句を云わせる。そこで夫婦の珍妙な喧嘩が展開されたが、森岡の仕事は滅茶苦茶になってしまった。而もある時カンナ社長が契約した鳩屋蚊取線香の社長が、歌手谷間百合子に云い寄る現場を目撃した森岡は、憤慨して契約を破棄してしまい、責任上会社をやめる破目に陥ってしまった。妻の蓮子は何かと森岡を励まし、屋台で酒をおごってはとかく沈み勝ちな森岡...