激流の洋上--旭光丸の船長室で何かを探していた西条は、背後に人の気配を感じた。船長の黒川であった。西条を海上保険の調査官とにらんだ館長のピストルは火を吹き、西条は倒れた。やがて洋上に漂う旭光丸の救命ボート。旭光丸は遭難したのだ。新聞は黒川船長と機関士西条の殉職を発表した。西条の恋人アキ子は、彼の死に不審を抱いていた。一方、海上保険の調査官田代は、OKの松という男をみつけていた。百瀬という男のことを調べていたのだ。松から百瀬の手がかりをつかんだ田代は、彼がいるというホテルを訪れた。そこで彼がみつけたのは、死体となった百瀬のそばに茫然と立っているあき子だった。百瀬の死は西条の死につながっているのか--。松からの情報で百瀬が花田から金を借りていることがわかった。花田に逢った田代は、百瀬に蛭間という友人があることを聞いた。蛭間を訪ねてクラブ宇宙人に来た田代は...
健生は比嘉産業の社長令嬢玲子と結婚し、豪荘な家で新婚生活を送っていたが、突然玲子の父が命を落とし、健生が比嘉産業の社長に就任した。
ところが健生は原因不明の熱病に冒されてしまった。彼は危篤状態に陥り、死を予感し若く美しい妻の浮気を心配しだし、「死棺破り」という中国の昔話を持ち出し玲子に語った。
その内容は、荘周という高貴な学生が永年の修行の末、仙術を会得し帰宅したが、自分の留守中に妻が他の男と浮気していなかったか不安になり、妻を試すというものだった。
荘周は死に、未亡人となった妻の前に美しい王子が現れた。妻はたちまち王子に心を奪われ、人間の脳みそを食べねば発作が治らない王子の奇病を治すため、死んだ夫の脳みそを取り出そうと棺を斧で打ち破った。
だが、荘周は死んでおらず、王子も荘周が仙術で作り出した幻だった。荘周は妻の不実を責め、狂乱した妻は火災に巻き...