原作は島田一男作「斬り捨て御免」(コスミック時代文庫にて2014年に再版、2021年10月現在新刊あり)。
三十六番所が舞台である点はシリーズ共通であるが、シリーズごとに基本主旨が異なっており、特に第3シリーズでは日本支配を企む翁の御前率いる悪の組織との闘いがメインとなった。出雲が部屋住みの次男[1]として遊んでいた頃から家督を継いで登城した時代は将軍家治公(老中田沼意次)の末期、奥祐筆時代に家治は毒を盛られ亡くなり、家斉公の治世[2]となる(老中松平定信)。三十六番所の斬り捨て御免の認可は定信(その後の白河楽翁)の元で行われたと思われる。同時代に長谷川平蔵が火付盗賊改長官として活躍しており、第2シリーズでは平蔵が設立した人足寄場[3]帰りの登場人物も多くなる。
上州取手宿のある賭場、潮来の伊太郎は美貌の女お加代とのさしの勝負に着物からドスまでまきあげられすってんてん、丸裸にされてしまった。折も折、草鞋をぬいでいた松戸一家から喧嘩の知らせがあってそのまま飛び出した。棒切れを振り廻して苦戦を続ける伊太郎に横合いからお加代はさやぐるみ長どすを投げこんだ。勇躍斬りまくる伊太郎。そこに現われたのが敵の用心棒金平金九郎、彼は武士だけに相当の腕前だったが突然持病のさしこみに苦しむ。条件が等しい時改めて勝負しようという伊太郎に金九郎はすっかり惚れこんでしまった。翌朝、伊太郎、お加代、金九郎の三人はお互いに心ひかれながらも三人三様に旅に出て行った。それから一年、潮来の料亭の女中になっているお加代は、伊太郎を恋いこがれていたが、伊太郎はその頃、関宿の久兵衛の家に草鞋をぬいでいた。久兵衛の妹おみねはひそかに伊太郎を慕っているが、...
世界一のオートライダーを目ざす譲介は、三次と、堅い友情で結ばれていた。二人はある日、浅間山のオートレース場に練習に向う途中、道に迷って一軒の山荘に助けを求めた。山荘には人魚のように美しい杏子が住んでいて、二人に食事とベッドを与えてくれた。その翌朝、杏子はまだ会ったこともない祖母、藤岡財閥の盟主でもあるやよいの危篤の報を受け取った。杏子の恩に報いるため、譲介と三次は彼女を東京の病院に送りとどけてやった。このことがあってから、譲介と杏子は、お互いに愛を感じるようになった。譲介は世界選手権の日本予選のためにオートバイの練習に余念がなかったが突然、愛用していたオートバイが故障を起し、丸焼けになってしまった。譲介の優勝を信じていた整備工場の山角や、その娘の幸江の励ましにもかかわらず、譲介は自分のパテントを売って姿を消してしまった。一方、やよいの死で数億の財産を...