名門として知られる横澤家のひとり息子で弁護士の淳一と結婚して5年になる加奈子。経済的には裕福ではあったが、同居の舅、行雄からは両親の離婚、父の職業と団地住まいを蔑視され、一度も名前を呼ばれないなど邪険な扱いを受け、使用人の米子も嫌がらせに便乗。淳一は妻子への愛情は抱いているものの、家庭内の問題に背を向けてしまうような優柔不断な面が見られた為、結婚生活は決して幸せとは言い難かった。そこへ2度目の離婚をした小姑、茜がアメリカから帰国することになる。行雄同様、高慢な性格に加え、淳一に対して恋愛的な感情を抱く茜は加奈子を憎悪。米子、知り合いのヤクザ、神野などを操り、巧妙な手段で加奈子と、その息子である政伸を追いつめ殺害をも企てる。同時に加奈子の父が警察官として関わった事件がきっかけで萌子という謎めいた美少女が淳一に接近して来る。
恋人を殺した暴走族に復讐をし、その罪で服役していた弘は出所後チンピラになった。一旗揚げようと息巻く弘は、握り屋一家組長松山の息子が作った借金を取り立てるため、一人で組長に会いに行く。しかし一家の代貸石川に放り出され、おまけに勝手な行動をとったとして組を追い出されてしまう。行くところがなくなった弘は、半ば自棄になって石川に舎弟を志願、当然断られるがその行動が松山に気に入られ、握り屋一家で修行をすることになる。ある日、弘は街で死んだ恋人に似た南という女と出会う。弘は南との結婚を決意するが、なんと南は石川の妹であった。なんとか石川に気に入られようとする弘と、二人の結婚は認めないという石川。そんな中、松山は借金の返済が出来ないことを理由に組を解散、組員は慣れない堅気の仕事を始めることになる。だが、ヤクザだったことを忘れかけていた頃、小橋組組長三宅が首を...
安浦刑事(藤田まこと)らが熊本に飛び、殺人事件の背後に隠された男女の愛憎を、人情味たっぷりに解き明かしていく。ブティックの女性経営者が自室で殺され、実弟の片倉(岡田浩暉)が重要参考人として指名手配される。片倉は妻の淳子(吉本多香美)に暴力を振るい、それを見かねた姉が淳子を探していたのだ。ところが、淳子は片倉をかばい、警護する警察から姿を消す。安浦は、淳子が隠した阿蘇の絵はがきをヒントに、淳子が熊本行きの飛行機に乗ったことをつかみ、林刑事(賀集利樹)らとあとを追う。一方、片倉と淳子が結婚した経緯を調べていた田崎刑事(岡本麗)は、淳子が働いていた食堂に足を運ぶ。そこは5年前、近くで殺人事件があり、田崎が事情を聴きに行った店だった。そして、淳子の母の再婚相手が、5年前の殺人事件の被害者である可能性も出てきた。捜査が混迷を極める中、阿蘇の牧場に淳子が現れる。...
元国会議員の息子が殺された事件を、刑事安浦(藤田まこと)が捜査する。あかね(新穂えりか)という少女が、男が遺体を埋める現場を目撃したという。半信半疑ながら安浦(藤田)らが捜索したところ、なんと白骨遺体が発見される。だが、あかねの証言とその遺体とでは死亡時期が違い過ぎる。あかねによると、彼女が見た遺体は自分の父だという。やがてその言葉どおり、あかねの父で元国会議員雄太郎(小沢象)の長男新一(五森大輔)の遺体が別の場所から発見される。あかねによると、新一を殺したのは彼の元妻沙織(伊藤蘭)らしい。彼女が新一の妻だったころ、雄太郎の選挙期間中に「沙織は子供のころから盗癖がある」という怪文書が出回った。おかげで雄太郎は落選。雄太郎の怒りを買った沙織は、新一と離婚させられたらしい。
神坂が率いるカポネ団は新宿を根城とする不良グループ。彼らがデートクラブを始めたことから、赤線廃止以来の伝統を誇る同業者紅バラ会と対立する羽目になった。神坂は紅バラ会会長大森あいの娘桂子を人質に、商売仇をゆすったが効き目はなかった。というのも、桂子がこの一帯を牛耳る関東挺心会会長川島の女だったから。だが、川島はこの二つのクラブを傘下に収めようと算段していた。神坂は、川島の圧力に屈しあっさり廃業。サラリーマン金融業に転じたが、これも挺心会の領分を犯したという理由で、廃業のやむなきにいたった。一方、挺心会の邪魔にねをあげた大森は、学生の暴力とストライキで廃校寸前に追いやれらた城南短大を買収、マンション売春をしようと理事長の江藤と話を進めていた。だが、時を同じくしてこの短大を狙う挺心会は、形勢不利とみて大森を殺害してしまった。そんな時、失職中の神坂に江藤の不...
北海道の小さな漁港神別に一人の男が現われた。以前は大網元だった山形家の次男である次郎だった。久し振りに帰った次郎は、自分の家が落ちぶれ、神別の漁師たちがやくざの芦田一家の言いなりになっているのを見て、決意するところがあった。博奕に手を出しては、酒を飲む次郎に皆は冷たかったが、大船頭の力三だけは、次郎が隙があったら芦田組へ殴り込みをかけようと虎視眈々狙っていることを知っていた。この次郎の真意を知らず、彼のだらしない様に愛想をつかした弟の真吉は仲間と芦田組へ殴り込んだ。芦田組が獲った魚を二束三文で買ったのだ。だが、芦田の息子の元は冷酷非情な男で、真吉を無惨なやり方で殺してしまった。真吉の遺骸を見てさすがに弱気の漁師たちも結束した。そして、山形一家を中心として芦田一家に対抗し始めたのだった。ちょうどその時、大魚群が神別の沖に来て、魚の買いつけをめぐって双方...