大型トラックに作った家に住むギャンブル狂いの家族を描く。脚本は馬場当、監督は「おさな妻(1970)」の臼坂礼次郎、撮影は渡辺貢がそれぞれ担当している。
二日続きの休日を秋の山中湖に遊んだ津村千秋は、モーターボートにのせてくれた宗方信一の別荘に招かれるが、彼の姉由江の無礼な応待にいたたまれない思いで、淋しく帰京した。千秋は銀座の洋裁店「エトワール」の女店員である。アルバイトにデザイナーもやっている貧乏画家波島隆は、ひそかに千秋を恋していたが、千秋は信一のことが忘れられない。ある日、銀座の舗道で千秋を見つけた信一は姉の無礼を詑び、再会を約して別れた。一方、花房商事社長の令嬢道子は信一の花嫁候補で、それとは知らず道子の仮縫いに出かけた千秋は、居合わせた由江に辱しめを受けて口惜し涙にくれた。叔父夫婦の家に間借りをしている千秋は、道楽者の叔父にいいよられて家を飛び出し、波島のアパートに泊めて貰ったが、次の朝、波島に懸想する「エトワール」のマダム磯子に誤解され、職を失った。傷心の千秋が自動車にはねられたのは、そ...
瀬川敏夫は朝、いつものように海辺にある家を出て、仕事場に向かった。彼は岡山県前島の火葬場の職員である。中学を卒業すると父親からすぐこの仕事を受け継ぎ、一生の仕事にしたいと考えていた。毎日、仕事場に出ると、まず丹念にかまの掃除点検をする。そして、裸になって全身を塩で清め、仏様が来るのを待つのだ。敏夫には恋人がいた。小野正子といい、老人専門病院で働く明るい性格を持った女性だ。彼は結婚も考えていたが、自分の仕事を正子に十分理解してもらえるかどうか自信がなく、なかなか切り出せないでいた。ある日、敏夫は道で倒れた女性を助け家まで送った。彼女は広井ぬいと言い、山奥の家にひっそりと息子と暮らしている。正子が二日間休暇をとって島にやって来た。敏夫は自分の夢を彼女に語った。夜、二人は海で戯れるぬい親子を見かける。翌朝、ぬいが敏夫の家を訪れた。息子が死んだというのだっ...