画家丸木位里丸木俊の大作「沖縄戦の図」は戦争悪とその愚かさを未来へ伝える世界レベルの作品である。
位里は「沖縄を描くことが一番戦争を描いたことになる」「このことは絵に残しておかにゃあいけん」と語り、俊は「この絵は私たちと沖縄の人たちみんなで描いた絵です」と話す。
最晩年の二人が激戦地を歩き、沖縄の人々に会い、琉球文化と芸能を創作のエネルギーに渾身の14作が生まれた。
このアートドキュメンタリーは全14部をのこらず紹介する初めての試みであり、画家の思考の軌跡をたどる謎解きの物語である。
ウクライナでの戦争が続く今こそ、アートは平和の祈りを運ぶ箱舟である。
「良い食材を伝える会」「確かな味を造る会」などの会長を務め、生きる力を支える食の大切さを訴え続けている料理研究家辰巳芳子のドキュメンタリー。かつて病床の父親のために工夫を凝らして作り続けたスープが、いつしか「いのちのスープ」として多くの人々に知られるようになった辰巳。スープの食材を誠実な志をもって作り上げる生産者や、その素材をいかして丁寧に調理する辰巳、そしてスープを口にする人々の姿などを通し、農が食を与え、食が人の命を支えることへの理解を深めていく。
東日本大震災直後から現地に持ち込まれた3Dカメラによって記録された映像群をベースに、その後のインタビュー映像なども追加し、被災地で生きる人々の姿を描いた3Dドキュメンタリー作品。2011年に起こった東日本大震災。3年が経過し、復興は進んでいるとは言え、いまだに25万人近い人々が定住の場を確保できないという現実。陸前高田、気仙沼、宮古市田老、南三陸町、釜石で津波という災害に遭遇してしまった人々の、それぞれの現実が描かれる。監督に「天のしずく辰巳芳子“いのちのスープ”」の河邑厚德。役所広司がナレーションを担当。