太閤豊臣秀吉の青春時代に焦点を合わせた明朗時代劇。バイタリティーあふれる藤吉郎が、持ち前の回転の速さと誠実さを駆使し、徒手空拳から天下人になるまでを描いていく。「天下を取る人とでなければ私は結婚しません」と藤吉郎の妻になるねね役を大原麗子が演じている。奉公先を追い出された弥吉(後の藤吉郎)(なべおさみ)は生まれ故郷に戻り、野盗の仲間になった。織田信長(佐藤允)の噂を聞きつけた弥吉は、何とか彼の家来にもぐり込み、藤吉郎と名乗るようになる。一心不乱に働き、草履取りになった藤吉郎は信長の目に留まり、次第に重用されていく…。
江戸の深夜、ある町角で武蔵屋の娘、お美代がかんざしで突き殺された。平次が留守とあって八五郎の活躍となった。お美代が出かけたという谷中の妙照寺に出向いた八五郎は、蓮月尼という美人の尼さんと逢った。八五郎の報告を聞いた平次は、武蔵屋の言った時間とのくい違いから蓮月尼を怪しいとにらみ、妙照寺にのりこんだがすでにもぬけのからだった。その帰途、武家娘琴江を襲うお高祖頭巾の女お吟、とその配下の黒覆面の侍があった。平次の投げ銭にお吟らは妙照寺に逃れた。そこで、平次と八五郎は顔をつぶされた尼僧の死体を発見した。頬のホクロで蓮月尼と判るが、平次達は、寺社奉行の配下に捕まってしまった。この頃、江戸市中に急激に広がった麻薬の弊害は目に余るものがあった。この取締りには若年寄京極近江守より直々の申付があって、南町奉行所は全力を挙げて奔走していた。与力笹野新三郎と神谷仙八は、一...
下総羽生村の按摩の宗悦は、旗本の深見新左衛門に貸した金を受け取りに行き殺され、累が渕に沈められる。その夜、宗悦の怨霊が現れ、発狂した新左衛門は妻を斬殺。怨霊に導かれて累が淵で溺死する。それから二十年後、新左衛門の息子新吉は、江戸の商家で番頭として働き、一人娘お久と恋仲になる。しかし新吉はお久が通う三味線の師匠の豊志賀に口説かれ情を交わしてしまい、それが知れるところとなり、店を追い出されて豊志賀と暮らし始める。ある日、自らの顔を誤って三味線のバチで傷つけてしまう豊志賀。ところが、それをきっかけに彼女の顔は異様な形相に変わり果て、ついに狂死してしまう。豊志賀の亡霊に悩まされる新吉とお久は駆け落ちをし、新吉の故郷の累が淵へ辿り着くが、豊志賀の亡霊が2人を追い、死へと追い込んでいく…。
中川信夫監督による本格的怪談映画の第一作目。人間の業の深さの描き方や、...
もぐりバクチの罪で捕った座頭市は、牢内で無実の罪で死刑を宣せられたやくざ島蔵から、彼の無実を証明する兄弟分黒馬の仙八か荒磯の重兵衛親分をたずねてくれるようにと頼まれた。翌朝牢を出た市は、若いやくざ百太郎と一緒になったが、市とは縁の深い青田の鎌十の許へわらじを脱いだ市が、下にもおかぬもてなしをうけるのに腹をたてて市と別れた。数日後大洗の宿で黒馬の仙八を訪ねあてた市は、島蔵の身の上を話して協力を頼んだ。一度はこれをひきうけた仙八だったが、その夜市は黒馬一家に寝込みを襲われた。得意の居合斬りで刺客を蹴散らした市は仙八をしめあげ、役人を買収し島蔵をおとしいれたのは、荒磯の重兵衛であることを聞きだし、さらに黒馬一家に監禁されていた妖艶な女お米を救けた。その後お米は市を慕って、どこまでも後を離れようとはしなかった。それからまた数日、市は百太郎の扮するニセ座頭市...
座頭市は幼い頃の思い出を忘れかね、今は見えぬ目ながら初日の出を拝もうと妙義山に急いでいた。途中ふとしたことから新助と名乗る旅人から手紙をことづかり、笠間の宿の旅籠、むさしやの女中お仙に届けた。市はそこで行方知れずの父を訪ねる、お咲に会った。一方土地の親分甚兵衛は芸人たちの足元を見て、ショバ代を四分六で寄こせと難題を吹きかけてきた。宿の芸人達は怒ったが、代官、加島と結びついた二足わらじにはどうすることもできなかった。そんなある夜、むさしやに新助が舞いもどった。新助は、代官甚兵衛の命令で、江戸へ強訴したお咲の父を殺した。しかし代官に通じてあるという甚兵衛との約束は被られ、追手におわれて宿に逃げこんだのだった。しかし非情な甚兵衛は、そんな新助をめった斬りにした。ふとしたことからこれを立ち聞した市も何も知らないお咲に真相を打明ける勇気はなかった。そんなある日...
甲州の宿場外れで功名心に燃えた旅のやくざ清六から、鉄砲で射たれた座頭市は、彼を救い治療費までおいて行った名も知らぬ恩人を追って鰍沢へと旅発った。鰍沢は富士川を挟んで、津向の文吉と竹屋の安五郎が対立していた。文吉は、今年も河原で花火をあげて近在の人々を喜ばせようと、江戸の花火師久兵衛を招き、姉娘お国を迎えにやったのだが、市を救ったのはこのお国であった。鰍沢についてこれを知った市は、お国に厚く礼を言い、自分はしがない按摩として文吉の家に厄介になった。吃安と仇名さる安五郎は、妹お仙が代官の妻、という立場を利用して、文吉の縄張りを狙い、ことある毎に文吉に因縁をつけていた。だが、柔和な文吉は取り合わず、血気にはやる乾分をなだめていた。そんなところに清六が文吉の家に帰って来た。清六は文吉の息子で、親姉妹にさんざんの迷惑をかけて出奔していたのだった、清六は市をみて...