大飢饉が相次いだ江戸天保年間。厳しい年貢の取り立てや、新興ヤクザの勢力拡大で疲弊する農民たちを見て、農民の結束を呼びかけて立ち上がった、農協の始祖大原幽学をクローズアップした作品。農協のキャンペーン映画でもある。
蔵原惟繕監督と山田信夫脚本のコンビによる日活アクションの類型をはずれた異色作。北海道の北端稚内の昆布採りの娘みふねは、貧しさのため人買いの秋本に売られるが、途中で逃げ出し見知らぬ男ジョーに救われる。秋本みふねジョーの3人は運命の糸に結ばれ、やがてみふねの故郷稚内で巡り会うことになるが……。この作品は公開当時、白痴のヒロインをめぐる二人の男という人物設定の類似からフェデリコフェリーニの「道」(1954)の模倣とみなされていたが、心ある映画ファンならこの映画の真意をくみ取ることができるはず。主演の3人はいずれも好演だが、特に白痴のヒロインに扮する芦川いづみが素晴らしい存在感を示した。
一ノ瀬幸子悠子の姉妹は宮崎交通のバスガイドだ。今日の幸子のガイドは、はずんでいた。姉の幸子が全国バスガイドコンクールに優勝して帰って来るからだ。飛行場の歓迎の人混みの中には、バスガイド嘱託教師の小宮信吉をはじめ、同僚の嬉れしそうな顔があった。しかし、コンクール代表に決りながら、ノドを痛めて出場出来なかった有村日奈子の顔は暗かった。職業的ライバル意識と小宮信吉への同じ思いが重なっているのだ。幸子の内気な性格にかせいした嫁悠子の作戦が実り信吉と幸子は結婚した。姉の新家庭を訪れる悠子の目に、幸福そうな二人の様子は、何かさびしくうつった。やがて、ダンスホールに同僚と姿を見せる悠子が、人目をひくようになった。信吉の部下の柏木との仲を心配する信吉も、悠子が自分を愛している事を知って苦悩した。そんな折、姉の幸子が乳癌で入院した、看病に通う悠子と信吉、愛しては...