行列が鉢合ってしまった尾州紀州の両若殿、徳川宗長と徳川義忠。そこへ江戸の町人弥次郎兵衛と喜多八の馬が飛び込んだ。身軽な町人の身分にすっかり魅せられた若殿は、それぞれの替え玉に弥次喜多を据え付けて自分たちが弥次喜多を名乗って保土ヶ谷の本陣を抜け出した。自由な旅に有頂天の二人。さて道中知り合った鉄砲の名人垣内権兵衛が腕前を見せようと巡礼娘お小夜の旅杖を狙ったところ、その夜、お小夜が若殿たちへの面当てのように自ら命を絶ったのだ。この死んだはずの娘が昼夜の区別なく現れて2人に息もつかせない。小田原では女中に言い寄られ、箱根では山賊を懲らしめ、三宿では二人を探す家臣から逃げて女歌舞伎の一座に紛れ込み。と幽霊騒ぎだけでなくさまざまな出来事にあいながら東海道を進む。そして由比でお小夜に再会。足がある!怨霊だと思ったのは単なる勘違いで小田原で自殺したのはお...
小学生のピンちゃんに、新しいお母さんが来た。父親の日雇亀吉が怪我をしたとき、同じ日雇のツネが手伝いにき、そのまま一緒になったのだ。ツネには連れ子があり、姉の鳥子はレストランで働き、サラリーマンの井上と恋仲だ。兄の実は住込の商店員だ。ツネは暮しを助けるためチンドン屋のビラ配りになった。ピンちゃんは仲間からそれを囃し立てられ、恥かしかった。が、ツネが学校や父兄のもとへ抗議に行き、先生が職業に貴賎はない、どんな仕事でも一生懸命やる人が偉いのだと皆にさとしたので、ピンちゃんは堂々と母のことを綴方に書くまでになった。実君が主人の金二万円を落すという事件が起った。ツネはちんどん屋のコンクールに出場し、その賞品で金の返済をと思ったが、ツネがトチって落選してしまった。長屋の連中は、同情して資金カンパを始め、ツネは金を返すことができた。鳥子は転勤する井上と結婚して...
東西放送広告社のプロデューサー森岡繁は、どうも仕事ぶりが芳しくない。社長の園田カンナ女史はなかなかの強者で、森岡には苦手の存在だったが、或る日彼が新規に契約したポポナ化粧品の番組にカンナ社長自ら出演すると大張切りで、その交換条件に森岡には若草もゆるという可憐な助手がつけられた。ところがカンナ女史歌う「情熱のカンナ」がワイセツじみてしまい、ポポナの宣伝部長のカンにさわり、彼はそこに勤める森岡の妻蓮子に、そうとは知らず森岡に電話で文句を云わせる。そこで夫婦の珍妙な喧嘩が展開されたが、森岡の仕事は滅茶苦茶になってしまった。而もある時カンナ社長が契約した鳩屋蚊取線香の社長が、歌手谷間百合子に云い寄る現場を目撃した森岡は、憤慨して契約を破棄してしまい、責任上会社をやめる破目に陥ってしまった。妻の蓮子は何かと森岡を励まし、屋台で酒をおごってはとかく沈み勝ちな森岡...