勝新太郎が一本気で正義感の強い父親を演じたドラマ。10年ぶりに再会した父と娘が、荒々しくも心温まる物語を繰り広げる。10年前に壱岐島を飛び出した奈緒子が、ひょっこりと島に帰ってきた。だが、父厳はかたくなな態度を崩さない。そんな中、町長選をきっかけに父娘の対立は深まり…。その昔、鬼が棲んだといわれた壱岐島には、“鬼とばし”という鬼を追い払う凧揚げの行事がある。奈緒子(樋口可南子)は10年前、“鬼とばし”をするかのように島を出て行ったが、この度ひょっこりと島に戻ってきた。島にひとりで残った父親の厳(勝新太郎)はフェリーの船長だったが、今は定年退職して一人暮らしをしている。厳は久しぶりに会った奈緒子に、優しい言葉ひとつもかけてやれなかった。そんな中、町長選を控えた島では、医者の岡村孝雄(遠藤太津朗)が立候補を表明。岡村の竹馬の友である厳は、もちろん彼を支...
座頭市(勝新太郎)は、道中、三味線を抱えた鳥追い女おゆき(吉永小百合)と道連れになた。飲みぷりも見事に大酒をあおり、どうせ流しの門付女だもの、すれからしさと、わざと伝法にうそぶくおゆきだが、根はやさしい女だた。名前と同じで雪のように心のきれいなおゆきと話していると、重なる旅にすさんだ市の心も自然となごんだ。おゆきは、旅の三味線弾き投節の宇之(林与)の行方を搜していた。三年前、二人は結婚の約束までしたのだが、おゆきは病気の父を見捨てて旅に出るのがためらわれ、愛する宇之を裏切る結果となてしまた。別れてからいよいよ思慕は募た… o 宇之からもらた思い出の品だという撤を、さも愛おしそうに磨きながら、問わず語りに宇之の話をするおゆきの、遠い目つきと、小娘のように紅潮させたほおの色が、市にも目に見えるようだた。
実は、宇之は、江戸前の三味線の音色で娘心をとろけさ...