蔵原惟繕監督と山田信夫脚本のコンビによる日活アクションの類型をはずれた異色作。北海道の北端稚内の昆布採りの娘みふねは、貧しさのため人買いの秋本に売られるが、途中で逃げ出し見知らぬ男ジョーに救われる。秋本みふねジョーの3人は運命の糸に結ばれ、やがてみふねの故郷稚内で巡り会うことになるが……。この作品は公開当時、白痴のヒロインをめぐる二人の男という人物設定の類似からフェデリコフェリーニの「道」(1954)の模倣とみなされていたが、心ある映画ファンならこの映画の真意をくみ取ることができるはず。主演の3人はいずれも好演だが、特に白痴のヒロインに扮する芦川いづみが素晴らしい存在感を示した。
紙幣用のスカシ入り和紙10億8千万円相当が強奪された。ガラスのジョー、計算機の哲、ブル健の3悪人は、紙を盗んだ奴らにニセ金作りの名人を高く売り込もうとたくらむが……。原作は都筑道夫の『紙の罠』。これを中平康が演出するアクション喜劇。宍戸錠扮する、ガラスをこする音にはまったく弱い、ガラスのジョーというキャラクターが笑わせる。