“まむしの兄弟”シリーズ四作目。義理にも人情にも縛られない二人の男が次々と引き起こす騒動を描く。脚本は佐治乾と蘇武道夫の共同執筆、監督は「木枯し紋次郎」の中島貞夫、撮影は「ゾロ目の三兄弟」の山岸長樹がそれぞれ担当。 十八回目の刑務所暮らしから釈放された政は、出迎えた勝と神戸へ戻って来た。空っけつの二人は、バラック建ての歓楽街“おかめ横丁”にやって来た。そして売春バーの客となるが、女達に無一文がバレてしまい、用心棒のかなり年を取った鉄と辰の二人と大乱闘になる。ところがこの鉄と辰も、政らと同じ“まむしの兄弟”と名乗っていたので、またまた大騒動となった。翌日、刑務所で知り合った矢東会の山崎から政と勝は“おかめ横丁”の鉄らを痛めりけるようにと依頼された。矢東会とつながりのある、東栄建設が“おかめ横丁”を立ちのかせ、跡に娯楽センターを作るというのである。バキュ...
江戸栄えて爛熟の頃。榊山座の人気者丑之助が、ある日、武家娘お梅と駈け落ちしてしまった。追っ手を逃れる舟の中で、お梅は無理心中をはかり、丑之助だけが被差別民の東六に救われた。当時心中の片割れは死罪となるのがならわしであったが、丑之助は父の縁を頼って江戸谷中にある延命院に逃れ、仏門に入ることになり、法名を道暁とした。ところが、この道暁は、河原者でありながら武家娘と駈け落ちするほどの色男なので、噂が噂を呼び、延命院は女の信者で埋めつくされた。これを知った祈祷師柳全は、道暁を繰って信者の金をまきあげようと、自らも頭を丸めた。この計画は見事図にあたり、道暁のもとに、女と金がどんどん集まって来た。そんなとき住職の日暁が病気で倒れ、これを利用した柳全は、日暁を闇から闇へほうむってしまった。日暁の死後、延命院を継いで住職となった道暁は、日当と法名を改めこんどは、誰は...
野州烏山。「ひのき屋」の娘おすがに恋慕して、おすがの父米太郎を殺害した烏山藩家老佐伯左衛門の末子彦四郎は、おすがの兄千太郎に斬殺され、千太郎は出奔して旅芸人市川十蔵一座にかくまわれた。おすがは兄と別れて烏山三万石藩主の息女琴姫にひきとられた。父に代って藩政を執る琴姫に、家老佐伯左衛門は、三斗蒔山に本拠をかまえ御禁制の密貿易、浮世絵皿をつくっては、琴姫を陥し入れようと企てていた。お家大事と剣客植原一刀斎の使いとして使者となったおすがは、左衛門の長男一郎右衛門に殺害された。(キネマ旬報 全映画作品データベースより抜粋)