入院している味岡道代の見舞いで、芝令子と小河内まゆみは数年ぶりに偶然会った。大学教授夫人の道代は二人を羨望したが、富豪の実業家に嫁いだ令子も、子供二人を抱えながら建築ブローカーをやっているまゆみも、心の隅にわびしい魂の飢えを感じていた。数日前、令子はお茶会の席で、自分をみつめる青年紳士立花烈に動揺を感じた。建築界を牛耳る五十男の夫直吉は、自分を金のかからない秘書、娼婦としか考えてくれず不満だったが、令子は貞淑な妻として立花の気持に冷ややかに対応した。立花は財閥の分家の跡とりで、女に大変なドンファンぶりを発揮していたが、令子には真剣だった。愛人との関係を断つことを決心した立花は、やがて令子のいるところにいつも現れた。一方、小河内まゆみは、出版会社の部長で病妻持ちの下妻と十年来の間柄であったが、彼の求愛をさけていた。しかし二人の子供は、まゆみと下妻...
黒羽組大五郎の片腕と言われる銀次は、腕ききの代貸しだ。ある日、黒羽組のシマ荒しに来た堅気の者の真面目な姿に胸をうたれ、今までのヤクザな生き方に疑問をもった。銀次は清心亭の小染を秘に愛していた。小染は清水の大滝組の組長の子供で、一家が四散した時、懐刀といわれた仁助にひきとられた雪江であった。銀次は自分が堅気になった時、雪江を一身うけしようと誓っていた。かつて懐刀と言われた仁助も、今は黒羽組にいためつけられる露店商であった。ある日仁助のもとに相州哲が訪れた。かつて大滝一家で小太刀の使手として名を売っていたが、雪江との結婚式の夜、殴り込みに会い、雪江を捨てて行方をくらませた。しかし、雪江が今幸福に生活しているのを聞き、仁助のもとを人知れず去って行った。仁助と黒羽組との間は泥沼におちていった。仁助との争いに手を下すように大五郎から責められる銀次は、これを機会...
A once-powerful yakuza clan disbands as a result of a police crackdown, but one small group refuses to bow to police pressure, and launches a campaign to take over Tokyo’s drug, prostitution, and gambling rackets. Someone wants to stop them. Is it the police Rival gang members Or is it an entirely new group of hired killers who will stop at nothing to gain complete control of...
銀座商店街は深刻な人手不足に悩んでいた。銀座若旦那会のメンバーがこの問題を討議している頃、同じ銀座の某所では全国ヤクザ連合会のボスたちが来年のオリンピックに備え、諸外国から来るであろうギャング団に対抗しうる強力なシンジケートを組むか頭を悩ませていた。彼らもまた暴力団追放キャンペーンのせいで人材不足に悩んでいたのだった。委員長である横浜のボス白須は、銀座のボス竜巻をつるし上げ、竜巻はやむなく、ヤクザにとって最も苦手な銀座の次郎長と手を結び、彼をスターに祭り上げて人集めに専念するという案を出してその場を逃げた。一方、若旦那会では田舎にスカウトを出し、集団就職で人手不足を切り抜けることを決議した。次郎長こと清水次郎は松の湯の秀子と共にさっそく大磯に飛び、一本槍元首相の紹介状をもらうと、長五郎とすし銀の親爺金作をスカウトとして東北の町へ送った。同じ頃、一本...